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January 5, 2007 | 米流時評 | 『楽園通信』デイリー版
Martyring a Monster By Christopher Dickey It is precisely because of the horrors Saddam committed that the trivialization of his death is such a shameful milestone on the road to American perdition. モンスターの神格化 | By クリストファー・ディッキー ニューズウィーク米国版 2007年1月5日 コラム<シャドーランド> | 抄訳 by ysbee サダムが自ら手を下した恐怖の血の粛清とまったく同じ理由で、部族抗争の復讐劇が再現された彼の処刑は、アメリカが墓穴を掘る道程の恥ずべき記念碑となってしまった。 Saddam watch stops Sometime shortly before the new year, my Saddam Hussein wristwatch stopped running. A friend gave it to me back in the summer of 2003, and since then the Butcher of Baghdad’s grinning visage has hung among other curiosities pinned to the bulletin board above my desk, anachronistic, ludicrous and essentially harmless. サダム時計の止まる時 私のサダム・フセイン腕時計は、ミッキー時計のようなチープなみやげ物なのだが、新年の明ける少し前あたりに、ピタリと時を刻むのを止めた。思えば2003年の夏に友人にもらって以来、デスク上のピンナップボードにほかの奇妙なガラクタと一緒に、アナクロで馬鹿げてはいるが基本的には罪の無い体裁で、バグダッドのブッチャーの笑顔はぶらさがっていた。 Saddam was everywhere There was a time, of course, when Saddam’s image was everywhere in Iraq, and the only thing more frightening than his scowl was his smile. His face appeared on billboards and the sides of buildings in countless guises, wearing fedoras, helmets, commando berets, tribal headdresses. Turn any corner and you saw him fighting, exhorting, laughing, praying. Portraits of Saddam hung in every shop and office, and no one dared disrespect them. ユービキタス・サダム その当時のイラクはもちろん、どこへ行ってもサダムの肖像が目に入る時代であり、彼の鉄拳よりも恐怖を与えたものは、唯一彼の笑顔であった。頭にはフェードラ、ヘルメット、軍隊総指揮官のベレー、アラブ部族酋長の被り物をかぶり、ありとあらゆる服装を身につけた数え切れないほどのサダムの肖像が、巨大なビルボードやビルの側面に掲げられていた。どの街角を曲がってもまず最初に目にするのは、戦闘を指揮したり、威嚇的だったり、笑ったり祈ったりしている彼の顔だった。サダムの肖像はありとあらゆる商店やオフィスに掲げられ、あえてそれを侮蔑しようとする者は皆無だった。 Lizard survived by dictator I remember one afternoon in Baghdad in the late 1980s when I was in a store buying a notebook and a lizard scurried along the wall behind the counter. The shopkeeper gave chase, taking off a shoe and trying to smash the little reptile with the heel—until the lizard managed to slip behind the mandatory photograph of the dictator. The shopkeeper froze, arm raised, terrified. The lizard survived. If the shopkeeper had smashed the picture, he might not have. 独裁者に救われたトカゲ そういえば、1980年代後半にバグダッドを訪れた頃のある昼下がりを思い出す。私がちょうど一軒の店でノートを買おうとしていた時だった。一匹のトカゲが、店のキャッシャーカウンターの奥から壁沿いに這い出して来た。店番は片一方の靴を脱いでつま先を手に取ると、そのかかとで小さな爬虫類を一撃しようとして店中を追いかけ回した。トカゲが店の一隅にある独裁者の肖像写真の陰に逃げ込むまで……その途端、店番は凍りつき、ホールドアップのように両手を挙げて恐怖におののいた。かくしてトカゲは生き延びた。もしあの時店番の男が写真をひっぱたいていたら、国家元首冒涜の罪で多分彼の命はなかったろう。 From a monster to a martyr When Saddam was toppled by the U.S.-led invasion, all this fear suddenly seemed almost as ridiculous as the tyrant’s face on a cheap watch, which is why I rejoiced at the time, and why it’s so damn sad that last weekend Saddam Hussein was turned from a monster into a martyr by the manner of his execution. モンスターから殉教者へ サダムが米軍主導の侵略によって潰走したとき、それまでのこのような畏怖心は、その日を境に突然ばかばかしく思われるようになった。ちょうどこの安物の時計の独裁者の顔のように。それが当時私が喜んだ理由である。だからこそ先週末執行された死刑のマナーのおかげで、サダム・フセインがモンスターから殉教者へと昇華してしまったことに対して、どうしようもなく嘆かわしいと思う次第である。 Actually, “lynching” would be a better word, despite the $128 million Washington reportedly spent trying to present the captured dictator’s trial as free, dignified and fair. In the days since Saddam’s necktie party, we’ve had to listen to spin from Washington and Baghdad that is not only implausible but condescending—and absolutely irrelevant to the problem at hand. "There seems to be a lot of concern about the last two minutes of Saddam Hussein's life and less about the first 69 [years], in which he murdered hundreds of thousands of people,” said Tony Snow, the former Fox News face who now mouths the White House talking points. 死刑というよりむしろ「リンチ」 シーア派軍団によって執行された処刑は、実際「リンチ」と言ったほうが当てはまるようなお粗末さである。自由・尊厳・公正を期するため、ワシントン政府が1億2800万ドル(約140億円)もの巨費を投じたと伝えられる、囚われの独裁者裁判の一部始終。しかしながら、あのサダムの絞首刑騒動からほんの数日しか経っていないのに、またもやワシントン、バグダッド双方からのいかがわしいこじつけを聞く羽目になるとは……何よりも自ら手を下した問題に対してまったく関係ないとでも言うような、思わず耳を疑いたくなるひとを小馬鹿にした言い草であった。 「サダム・フセインの最期の2分間の方が、これまで何万人も殺してきた69年間の生涯よりも皆さんにとっては大変な問題のようにお見受けしますね。」かつてのFoxニュースチャンネルの顔で、今やホワイトハウスの論点を代弁する報道官トニー・スノウは、いみじくもこう宣ったのである。 Shameful milestone of American perdition In fact it is precisely because of the horrors Saddam committed that the trivialization of his death at the hands of thugs is such a shameful milestone on the road to American perdition. Washington looks ridiculous saying it was powerless to influence the actions of the executioners that it empowered. Without George W. Bush, they never would have been able to bring Saddam down, much less string him up. Everyone knows that, and anyone with a sense of pride or honor—which do stand for something in the Arab world—will know that. Which is why the last ironic question Saddam asked was so damning: “Is this manly?” he said of the taunts, half smiling, as the trap door opened. He knew he’d won. 米国が墓穴を掘った恥ずべき記念碑 実際今回の処刑は一部始終、部族間の抗争にならず者の手によって死の報復を与えるという、サダムが強いた恐怖政治の実行そのものであり、アメリカが自ら掘った墓穴へたどる道の恥ずべき一里塚である。ワシントン政府が、自ら強力に推進して来た裁判と死刑執行そのものに対して無力な存在だと言うのは、ばかばかしいにも程がある。 ジョージ・W・ブッシュが手を下さなければ、サダムが倒れることは決してありえなかっただろうし、縛り首になることもなかったろう。そんなことは周知の事実だし、アラブ世界を際立たせている民族の自尊心や名誉のためにも、これから先誰もがそう学ぶだろう。 だからこそ絞首台の口が開く間際、半面笑みを浮かべながらサダムが最期に発した皮肉な問いかけ、「これが男らしいことなのか? (Is this manly?)」こう揶揄した言葉が、とてつもなく心に突き刺さるわけである。そのとき彼は、最後はおのれが勝ったということを知ったはずだ。 ▶ Newsweekのサイトで原文記事を読む ◀ ブログ村ランキングにぽちっとひと押し ◀ 人気blogランキングへ一票 ◀ 今年は少しがんばろう! ◀ もうひとつよろしく! .......................................................................................................................................... クリストファー・ディッキー ニューズウィーク誌の国際時事コラム『SHADOWLAND』を執筆するクリストファー・ディッキーは、中東情勢に長けた時事解説のエキスパートである。昨今のきな臭い紛争の背景を探訪する偵察レポートはもとより、9/11やイラク戦争の陰謀論の根拠を探る手記も物にしているので、ブッシュ陣営から見ると、先年「コーラン冒涜報道問題」で渦中の人となったイシコフと並んで、非常に手強い相手のジャーナリストに違いない。しかし彼の賢いところは、例えば 9/11ホワイトハウス陰謀説に関しても、そういう映画を見に行ったよという仕立てのレポートで、自らの意見としてではなく映画作家へのインタビューとして謀略の細部を語らせ、俎上に載せる訳である。これなら当局が危険視しても手が出せない。何しろ彼はあくまでメディアに徹して、世間の事象を媒体として伝えているだけなのだから。 イシコフやジョン・アルターを始めとするNewsweekの名物コラムニストは、真っ向からブッシュ政権の醜悪な陰謀術数を叩き斬るが、クリストファー・ディッキーの場合は小説の手口で、目撃者の語りを借りて細部から大局を描き出す。またタイトリングが絶妙で、北朝鮮の核実験騒ぎの際のコラムには、ブッシュの「Axis of Evil」発言が金小児値(ママ)を暴挙に追い立てたという観点から、「Excess of Evil」と銘打った。思わずニヤリとせざるをえない。こんな痛快な、ジャーナリストの武器をフルに発揮した戦術がお得意なので、一部に通好みの大人のファンが存在していて、サイトでの読者の評価では彼のコラムは常に5点法で4点を獲得している。もちろん私も大ファンであることは、言わずもがなである。米流時評が自信を持って推薦するジャーナリストのひとり。 <『楽園通信』編集長 ysbee> 『楽園通信』で紹介したクリストファー・ディッキーのコラム 注: 彼のひねりの利いたコラムタイトルは、日本語に訳すと意味不明になり英語圏人にしか通用しない凝った名前が多いので、私流に勝手に付けたページタイトルになっています。 ▶ 5/12号「イラン人の手紙・アラビア半島逆ドミノ理論」 ▶ 5/13号「恐怖の三題噺 第1話 / 9.11・イラク戦争・石油危機」 ▶ 5/14号「恐怖の三題噺 第2話/イラン・核武装・第二次冷戦時代」 ▶ 5/15号「恐怖の三題噺 第3話/不法入国・国境警備・軍国主義化」 ▶ 10/5号「中東を塗り替える悪魔の地図/ネオコンの描く新世界」 ▶ 10/10号「平壌シンドローム/被爆したブッシュ外交 北朝鮮核実験・第三報」 以下ブログの本誌です: ▶『楽園通信』本誌カバーページ ▶『楽園通信』全記事アーカイブ ▶『楽園紀行』イタリー編トラベローグ ▶『楽園百撰』ハワイのベスト100 ▶『米流時評』コラム「傷だらけの星条旗 / 米国ジャーナリズムの良心」
by ysbee-Mac
| 2007-01-05 15:55
| イラク戦争
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