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私たち日本人は元よりアメリカ人本人たちでさえ、Middle East/中近東、Orient/東洋という地域を思い浮かべる時、あたかもインディアナジョーンズやアラビアのロレンスの冒険の舞台のような、日常とは途方もなく遠くかけ離れた「異郷」を思い浮かべがちである。 特に第2次大戦後は、1948年のイスラエル建国以来、宗教上の摩擦が発火点となって、常に民族間の抗争に明け暮れてきた「国際問題の火薬庫」のような危険な場所というイメージが強い。 しかし、戦後世界が米国に右倣えしてモータリゼーション、オートメーションを進めてきた過程で、その原動力となる石油の宝庫、イラン、イラク、サウジアラビアを始めとする中東諸国と、オイルエナジーの供給元として対等に交渉せざるを得なくなったのも、20世紀後半に大転換した国際社会の現実であった。また、単に原油の産出国と消費国という流通経済上の結びつきだけでなく、米国と中東との間には合衆国建国以来数世紀にわたる親密な外交関係の絆が結ばれていたことは、一般にはあまり知られていない事実である。 米流時評でも数回ご登場いただいている時事評論の達人、中東問題のエキスパートであるクリストファー・ディッキー氏が、Newsweekに書き下ろした最新の書評コラムから、人知れずステップを進めてきた米国と中東の、外交ダンスの足取りを読み取ってみたい。小説のように読みやすい彼のコラムのご多分に漏れず、今回もスエズ運河からハドソン河へと流れ着いた自由の女神の数奇な運命から、このコラムは幕を開ける。 【米国時間 2007年2月17日 『米流時評』ysbee 】 __________________________________________________________________ February 17, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版 I n t i m a t e S t r a n g e r Christopher Dickey | Book Review 中東とアメリカに横たわる熱い灰色の線 By クリストファー・ディッキー | Newsweek — Book Review | 訳 『米流時評』ysbee 1. The Statue of Liberty at Suez BAGHDAD, Iraq | FEB. 19, 2007 — America's long dance with the Mideast dates all the way back to the Founding Fathers. Who knew? The Statue of Liberty, in her curious way, helps tell the tale of America's long, complicated experiences and profoundly contradictory ambitions in the Middle East. The French sculptor Frédéric Bartholdi wanted to build a colossus bestriding the entrance to the newly opened Suez Canal in the 1870s. She would be veiled, like a peasant woman of the Nile, and would hold aloft her torch as "Egypt (or Progress) Bringing Light to Asia." 【スエズ運河の自由の女神】 アメリカと中東との外交ダンスの舞踏会は、なにも昨日今日に始まったことではなく、実ははるか「建国の父」の時代までさかのぼる大時代な代物だったなんて、誰が知っていただろう? まずは自由の女神にお出ましを願おう。付き合いの初めから二律背反する外交的野心が見え見えだったアメリカが、中東との交流で味わった長い複雑な体験談を語るには、一風変わったアプローチだが彼女がいい手助けになる。 時は19世紀、フランス人の彫刻家フレデリーク・バルトルディは、1870年代に新しく開通したばかりのスエズ運河のヨーロッパ側入口に、巨大な立像を建立するつもりだった。その女神像は、ナイル河畔の田舎娘のようにベールでおおわれ、「エジプト(あるいは進歩)はアジアに光明をもたらす」というシンボルのトーチを高く掲げるはずであった。 ▼ 計画当初はスエズ運河開通記念アラビア風女神、ニューヨーク・ハドソン河口「自由の女神」の作者 フランスの彫刻家バルトルディ/先にパリ万博の公園で頭部を公開/ニューヨークの現場に着いた頭部 2. U.S. anecdote for Orient But the pasha whose largesse was supposed to fund the project went bankrupt, the British occupied his country to collect their debts and Egypt's light failed. Bartholdi rethought his plan, redrew the design, and the Orient's loss was America's gain: "Liberty Enlightening the World." 【東洋の損失は西洋の利益】 ところが、運悪くこのプロジェクトの基金の胴元となるはずだった、施主のトルコの大守(pasha)が破産してしまった。それというのも、英国が長年の負債を徴収するためにトルコを占領したおかげである。かくして、あわれエジプトの進歩の灯火は消えた。そこで気を取り直したバルトルディは、案を練り直し、デザインを描き直し、ヴォアラ!オリエントの損失はアメリカの獲得へと変身し、結果的にはハドソン河口に「自由は世界を照らす」シンボルをもたらすにいたった……… ▼ 自由の女神の鉄鋼の枠組みに青銅版を貼付ける構造設計の方はエッフェル塔を設計したエッフェル氏が担当 3. Fatal mirror image of two regions This anecdote about the statue stands near the middle of Michael Oren's vast new best seller, "Power, Faith and Fantasy: America in the Middle East, 1776 to the Present." It served as a metaphor for the mingled, often mirrored fates of two regions strangely bound by grandiose dreams and hardheaded commerce, conflicting beliefs in one God, mutual fears, great hopes and grim bloodshed. 【アメリカと中東に共通する運命の絆】 自由の女神像にまつわるこの逸話は、マイケル・オーレンの新刊ベストセラー『権力と信仰と野望:中東におけるアメリカ(1776年〜現在)』の中段あたりに、忽然と現れる。この逸話は、アメリカと中東という二つの世界がたどった数奇な運命の、変幻自在な鏡像のようでもある。壮大なる野望としたたかな計算、ひとつの神、同族間の抗争、大いなる希望と悲惨な流血……という奇妙に共通する運命の絆によって結びつけられた、光と影のような二つの世界である。 【鏡像と解釈するにあたっての注:ysbee】 「ひとつの神」とは、キリスト教は全智全能唯一の神 (ユダヤ教はエホヴァ)、イスラム教はアッラーの、ともに一神教であること。;「同族間の抗争」とは、同民族間の覇権争いで内戦となった、アラブ世界でのシーア派対スンニ派の抗争とアメリカの市民戦争のこと。;「大いなる希望と悲惨な流血」とは、中東・米国とも自主建国を目指して欧州植民地から立ち上がった、それぞれの独立戦争を指す。;「壮大な野望としたたかな計算」があてはまるのは、アラブのオイルダラー財閥と、米国の場合はどうもユダヤ人財閥の話であるようだ。 4. A sweeping view of US—Mideast Because there is no other book with such a sweeping view of the subject, the vast cast of characters Oren presents and the exhaustively researched tales of the way they played on each other will shape our thinking about America and the Middle East for years. And because much of this largely unremembered past reads as prologue to the present day, the admonition of Ecclesiastes that "there is no new thing under the sun" seems to emerge constantly from between the lines. 【米国と中東の一大歴史絵巻】 米国と中東という主題に関して、これほどまでに一気通貫で書かれた書は未だかつて存在しなかったので、著者オーレンが繰り広げる壮大な人物絵巻と、それぞれの人物が交錯して演じる物語のように緻密な史実の詳細は、今後数年にわたって我々がアメリカと中東を考える際に、まず最初に思い浮かべるひな型となるだろう。 本書に書かれている既にあらかた忘却の彼方にある過去の史実の大半が、今日起っている問題のプロローグ/序章として読み取れるので「この地上に新しいことは何もない」というソロモンの伝導書『Ecclesiastes』の教訓が、読んでいるあいだ中、行間から立ち上ってくるように思える。 ▼ マイケル・オーレンの新刊ベストセラー『権力と信仰と野望:中東におけるアメリカ(1776年〜現在)』 5. Founding fathers' problem Thus one of the first great tests for the newly formed United States of America was a decades-long confrontation with the Arab corsairs of North Africa. In the aftermath of independence, the American central government was weak, the Navy almost nonexistent, and debate raged at the highest levels—between Thomas Jefferson and John Adams, among others. Should the United States pay ransoms to the pirates (which was cheaper) or build a military strong enough to prevent them from preying on merchantmen that flew the Stars and Stripes? 【合衆国建国の父たちの悩み】 かくして、新しく建国なったアメリカ合衆国に対する最初の偉大なる試練のひとつが、数世紀にわたる北アフリカのアラブ人海賊との抗争であった。独立戦争直後は、新生アメリカの中央集権政府といってもまだ弱体であり、海軍はほとんど存在しないにひとしかった。当時の米国内のもっとも激しい論争のひとつは、トーマス・ジェファーソンとジョン・アダムス他の建国者のあいだで投げ交わされたものである。その論争の種とは? 「合衆国はひんぱんに誘拐を企てる海賊たちに身代金を払うべきか?(その方が実際には安上がりだったのだが)はたまた、星条旗をはためかせる商船が海賊の餌食となるのを防ぐのに充分なほど強力な、海軍を設立すべきか?」という問題だった。 ▼ 合衆国建国の父:初代大統領ジョージ・ワシントン、第2代ジョン・アダムス、第3代トーマス・ジェファーソン 6. Declaration of war against Arabs The young American nation would learn "that in the Middle East power alone was respected and that, in order to gain peace, the U.S. had no alternative but to wield it," Oren writes—a theme he underscores at several opportunities. But his narrative is also honest enough to show us that the feckless leaders of North Africa became convenient scapegoats once the U.S. finally had its Navy. Thus after the British returned to American shores in 1812 and burned Washington, D.C., the American public turned its anger against... the Arabs. In 1815, scant months after a stalemated peace was signed with Britain, Washing- ton shifted its attention to the Barbary pirates, declared war, and defeated them with great fanfare. 【英国ではなくアラブに宣戦布告】 当時生まれたての国アメリカ合衆国は「かくして、これ以降米国が中東と対峙するには、権力そのものが尊重され平和を確立するためならば、合衆国としての軍事力行使以外、何らの代替手段も持たなかった」とオーレンは書いている。この主題は、その後数回にわたって起きる史実の伏線ともなっている。しかしながら彼の論調が充分に真摯であることは、次の史実を明記していることからも読んで取れる。それは、合衆国が最終的に米国海軍を持ったが最後「北アフリカの非力な指導者たちは、大国にとって好都合な生け贄の羊になった」という記述である。 かくして、英国が1812年に米国の海岸に戻ってワシントンを焼き討ちした時、アメリカの民衆はその怒りを、なんとアラブ人に向けたのである。1815年、英国と互角の格付けで二国間の友好条約が取り交わされてからほんの数ヶ月も経たないうちに、ワシントンの合衆国政府は、その攻撃対象を野蛮人の海賊に向けて堂々と宣戦布告し、その結果大勝利を納めたのである。 7. Hostage and ransum in Africa But of course problems in the Middle East seem to endure like the Pyramids. Almost 90 years later, President Teddy Roosevelt would once again send gunboats to the North African coast, this time to win the freedom of an American businessman named Ion Pedicaris, who was held by a local Berber chieftain known as Raisuli. Roosevelt sent the bluntest possible warning to the sultan in Tangiers: we want Pedicaris alive or Raisuli dead. The hostage was freed. American pride and power were preserved once again. 【タンジール捕虜事件】 しかしもちろん、中近東の問題はピラミッドのようにうずたかく積まれてきたのは言うまでもない。それからほぼ90年も経った頃、テオドア・ルーズベルト大統領は、北アフリカの海岸へ再度砲艦を差し向けようとした。今回の目的は、ライスリと呼ばれる彼の地のベルベル族の酋長に囚われ捕虜になった、ペディカリスというアメリカ人商人を自由の身にするためだった。ルーズベルトはこの難局に際して、思い切り無謀な脅し文句をタンジールの酋長に発した。「ペディカスを解放せよ。さもないとライスリを殺すぞ!」その結果捕虜は解放され、アメリカの誇りと権威は再び遵守されたのである。 8. Africa, as a new promised land It wasn't just the projection of military might that characterized America's interaction with the Middle East, it was also the projection of missionary zeal—the faith that Oren talks about in the title of his book. From the time of the Puritans, American Christians had seen the New World as a New Zion or Promised Land, "a light unto the nations." 【新たな約束の地アフリカ】 アメリカと中近東との交流を特徴づけるのは、単に軍事力投下の場所というだけでなく、ある使命への情熱が投影される場所でもあったという点である。著者オーレンがその本のタイトルでもうたっている「信仰」というテーマ。アメリカのキリスト教徒は清教徒の時代から、彼らの視点からすれば「第二の新世界」であるアフリカを、「新しいシオンの地」、あるいはキリスト教流に言うならば「光充つる国」と呼ばれる約束の地だと見ていたのだった。 ▶2/18号に続く 記事リンク http://beiryu.exblog.jp/4659476 TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/4659476 __________________________________________________________________ 【クリストファー・ディッキー書評 訳:『米流時評』ysbee】 2/18号 『Intimate Stranger』 続編 目次 9. シオニストに選ばれし運命の地 10. ユダヤ人ヘブライ語教授ジョージ・ブッシュ 11. 二人の大統領の先祖 12. イスラエルの創始者トルーマン 13. 近代中東諸国の祖アメリカ Michael Oren: 'Power, Faith and Fantasy' 14. 現役のイスラエル義勇軍兵士 15.『力と神と夢』の著者 16. 中近東のA〜Z __________________________________________________________________ ▼ ぽちぽちっとランキング、よろしくおねがいします! 以下ブログの本誌です ▶ 本誌『楽園通信』カバーページ ▶『楽園通信』全記事アーカイブ ▶『楽園紀行』イタリー編トラベローグ ▶『楽園百撰』ハワイのベスト100 『米流時評』自選コラム・ベスト3 ▶傷だらけの星条旗/米国ジャーナリズムの良心 ▶米国式濃縮ニュース解説/風に聴け精神よ何処へ ▶西暦2003年のコマーシャル/広告と戦争のはざまで
by ysbee-Mac
| 2007-02-17 17:55
| 中近東・イラン問題
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