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米流時評でも昨年来おなじみの時事評論の達人、中東問題のエキスパートであるクリストファー・ディッキー氏最新の書評コラム『Intimate Stranger』の後編である。前編では、自由の女神は元々はスエズ運河開通の記念碑としてエジプトの河口にそびえるはずだった、というミス・リバティの辿った数奇な運命から始まった。 さて今回は、19世紀アメリカで起ったシオニズム運動で2幕目が上がる。しかもそのManifest を読み上げるシオニスト論理のarchitect は、ヘブライ語とユダヤ史の教授で、その名もジョージ・ブッシュ。ずいぶん聞き慣れた名前だが、果たして我々の思い浮かべるもう二人の同姓同名氏と関係があるのだろうか? 中東を語る時、影のようにまつわりついて切れることの無いもうひとつの千年王国であるユダヤ、即ちイスラエルを、今回のディッキー氏はどのように裁くのか、巨大なパズルを解くように一章一章解き明かしてゆく彼のプロットの見事さに、つい引き込まれて小説のように読了してしまう。これは元々『権力と信仰と野望』という米国政治史の新刊書にあてた書評なのだが、自身小説も書き詩人の父を持つ、American Literatureの鬼才であるディッキー氏の手にかかると、まるで一編の面白い読み物に変身してしまう醍醐味がある。まずは後編も興味津々の出だしからどうぞ。 【 米国時間2007年2月18日『米流時評』ysbee 】 __________________________________________________________________ February 18, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽 園 通 信』デイリー版 I n t i m a t e S t r a n g e r Christopher Dickey | Book Review ユダヤとアラブ・千年王国の確執 By クリストファー・ディッキー | Newsweek — Book Review | 訳 『米流時評』ysbee 9. Zionists' manifest destiny But by the early 19th century, there was growing enthusiasm for expeditions to the original Zion. Indeed, Palestine in the 1840s was viewed by some Americans as part of their self-proclaimed "manifest destiny." And a large part of their zeal sprang from the notion that restoring the Jews to the Holy Land, and converting them to Christianity, would bring on the Second Coming. This "restorationism," or Christian Zionism, was a powerful force in 19th-century America—just as it is in the 21st-century United States. シオニストに選ばれし運命の地 しかし19世紀までには、もともとの「Zion/シオンの地」は何処に存在したのかを探し当てる探検旅行熱が高まってきていた。実のところ、1840年代のパレスチナは、一部のアメリカ人からは彼らが勝手に提唱した「Manifest Destiny/明白なる使命」の対象の一部と見なされていた。 「聖なる地にユダヤ人の国を再建し、彼らをキリスト教へ改宗すれば、きっと第二のキリスト降臨が起る」という考えに取り憑かれた、彼らの狂信的な情熱にもまた負うところが多い。 この「Restorationism/キリスト教原理主義」別名クリスチャン・シオニズムは、19世紀のアメリカにおいて強大に勢力を拡げ、まさに21世紀今日の原理主義者のように熱狂的な信者拡大を果たしていた。 左:民主主義世界拡大を目指すManifest Destiny=明白なる使命をシンボライズした『Progress of America』 右:Manifest Destinyコンセプトを創案したフランス・ノルマンディの政治戦略家アレクシス・ド・トックヴィル 【訳者注:Manifest Destiny】 「Manifest Destiny」とは、元々はフランス革命時代の政治家アレクシス・ド・トックヴィルが提唱した説で「自由・民権・博愛を掲げる民主主義は世界のあらゆる地域へと拡大して行くべき」という政治戦略理論。この主張を当時のアメリカでは民主党アンドリュー・ジャクソン大統領が外交政策に適用。オレゴン、カリフォルニア、テキサスなどいわゆる"Western United States"と呼ばれる地域を合衆国に併合した。この言葉が実際に公表されたのは1845年、民主党びいきのジャーナリスト、ジョン・オサリヴァンが書いた『Annexation』という政治評論の中でである。この政略的思想は、のちのちアメリカの勢力の海外拡大を図る政権によって、たびたび復活応用されている。(例:メキシコ、キューバ、ベトナム) 左:19世紀の素朴派絵画に描かれた西部開拓の精神的支柱となったManifest Destinyの女神コロンビア 右:米国拡大主義提唱者のひとりで当時の先進的ジャーナリスト、ジョン・オサリヴァン 10. Hebrew professor Jew, George Bush As if the sense of déjà vu were not strong enough already, Oren informs us that in 1844 a Biblical scholar and professor of Hebrew at New York University by the name of George Bush wrote an influential tract called "The Valley of Vision; or, The Dry Bones of Israel Revived," which advocated "elevating" the Jews "to a rank of honorable repute among the nations of the earth" by re-creating the state of Palestine for them. ユダヤ人ヘブライ語教授ジョージ・ブッシュ ここまで来て、まるでまだデジャヴの感がピンと来ないのか、とだめ押しをするように、著者オーレンは重大発表を用意している。時は1844年、ニューヨーク大学のヘブライ語教授で、その名もジョージ・ブッシュという人物が著した、当時影響力のあった宗教的小冊子の登場である。そのタイトルも『ヴィジョンの谷:イスラエル・ドライボーンの再生』とあり、内容はユダヤ人のためにパレスチナの国家を再建することによって、「ユダヤ人を地上の国々の中でも栄えある名声に浴する高みへと引き上げる」ことを公言したものであった。 【訳者注:ブッシュの先祖】右:1844年にシオニズムの骨子となる「神の国イスラエル」建国の論理的プロパガンダを出版し「Return to Zion」とユダヤ民族を鼓吹した、ユダヤ人ヘブライ語教授ジョージ・ブッシュ 11. Ancestor of two Presidents (According to Oren, who spent two days in the genealogical room of the Library of Congress researching family trees, George Bush was a direct forebear of the two presidents with the same name, both of whom made a major impact on the Middle East.) For Oren, questions of Zionism, first as dreamed of by American Christians and then as conceived and implemented by 20th-century Jews, are absolutely central to the story of U.S. involvement in the Middle East. 二人の大統領の先祖 著者オーレンによると、このジョージ・ブッシュ教授の family trees/家系を調べるために、ワシントンにある国会図書館の家系図書専門室で二日を過ごしたそうである。その結果明らかになった事実は、ジョージ・ブッシュ教授は、どちらも中東に大きな衝撃を与えた同姓同名の二人の大統領の、直系の先祖その人だったのである。 初めはアメリカ人のキリスト教徒の夢想だった「約束の地」が19世紀にユダヤ人によって独善的に解釈され、20世紀に入ってからはイスラエルという現実の国家となって具現化されたシオニズム。オーレン氏が疑問に思う19世紀シオニストのこの勝手な解釈が、米国の中東に対する干渉の歴史を展開する彼の書の間違いなく核心を成すものである。 【訳者注:ブッシュ家三代の因果】上の写真左から:現行43代目ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領/父親のジョージ・ヒューバート・ウォーカー・ブッシュは41代目/祖父のプレスコット・ブッシュは、第二次大戦中ナチスに投資していた米戦争財閥の金庫番を務めた問題の人物 12. Truman's creation of Israel Oren's account of President Truman's role in the creation of Israel is one of the most complex and compelling chapters of the book. Here was an American leader who fiercely resisted the lobbying of American Zionists. "The Jews, I find are very, very selfish," Truman ranted in his diary, "neither Hitler nor Stalin has anything on them for cruelty or mistreatment to the under dog." イスラエル建国の父?トルーマン イスラエル建国にあたってトルーマン大統領が果たした役割に対するオーリンの評価は、この本の中でももっとも複雑でぐいぐい惹き込まれる章である。いいですか。ここではアメリカン・シオニストの陳情運動に頑強に抵抗してきた合衆国のリーダーが登場して、こう言うんですから。「ユダヤ人どもが。あいつらはまったく利己的なんだから」トルーマンは日記の中でこうぶちまけた。「ヒットラーもスターリンもあれだけ残忍に犬畜生同様に扱っても、やつらを負け犬にはできなかったんだから」 【訳者注:ハリー・トルーマン大統領】第二次大戦終戦時の連合軍側のリーダーで「War President」と呼ばれ、1948年のイスラエル建国を推進実行した庶民派の第33代ハリー・トルーマン大統領。歴史の表面ではイスラエルを最初に承認した大国代表であるため、イスラエル建国の父として受け取られがちであるが、実際には執拗で強硬なユダヤ人シオニストのロビイストたちに辟易していた結果折れたという本音が、図らずもこの本で暴露された感がある。 13. Region's primary architect, America Yet when the final decision had to be made, Truman's government was the first in the world to recognize the Jewish state. His reasons were political (he noted that he had few Arab constituents) and moral (the Holocaust weighed more heavily on his mind than the fear of Arab retaliation in the oil market). And the president's Baptist background gave him an intimate sense of Biblical history. By the 1950s, Oren writes, Americans had "transformed themselves from largely passive observers of Middle Eastern affairs into the region's primary architects and arbiters." 中東諸国独立の傍観者アメリカ しかし、まだ最終的結論が導かれるよりも前に、トルーマン政権は、ユダヤ人の国家を承認した世界で最初の政府になってしまった。彼が飲んだ理由は、もちろんきわめて政治的である。(彼はアラブを国連のメンバーにすることなど毛頭考えてもいなかったと述懐している) それともうひとつ、倫理的観点から。(石油市場でのアラブ人の逆襲への怖れよりも、ホロコースト/ナチスのユダヤ人大虐殺の方が、彼の心に重くのしかかっていたからだ。)さらに、この大統領が南部のバプティストとして育った生い立ちも聖書の歴史観になじみやすかったので、イスラエル承認に一役買ったのだろう。 オーレンはまたこう書いている。1950年代までは、アメリカ人は中東問題に関しては大おにして傍観者であり、当地問題は当初からの設計者や権威者である英仏に一任していたからだと。[了] 【訳者注:「設計者と傍観者」】 巨匠デヴィッド・リーンの傑作『アラビアのロレンス』を見ると、そのへんの事情が実に如実に描かれているが、英仏列強が数百年にわたる圧政を強いたオスマントルコを破って、その領地であったエジプト以下の中東世界を解放し、アラブ諸国を植民地支配から独立させ建国を促した史実を指す。したがって「新生の中東諸国の設計者」とは、英仏を指す。 記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/4670664 TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/4670664 __________________________________________________________________ ▶2/17号前編と併せてお読みください。 クリストファー・ディッキー書評『Intimate Stranger』目次 ▶2月17日号 前編:「米国と中東・親密なる異邦人 スエズ運河の自由の女神/東洋の損失は西洋の利益/米国と中東の一大歴史絵巻/合衆国建国の父たちの弱み/英国ではなくアラブに宣戦布告/タンジール米人捕虜事件/新たな約束の地アフリカ ▶2月18日号 後編:「ユダヤとアラブ・千年王国の確執」 シオニストに選ばれし運命の地/ユダヤ人ヘブライ語教授ジョージ・ブッシュ/二人の大統領の先祖/イスラエルの創始者トルーマン/近代中東諸国の祖アメリカ ▶2月19日号:『Power, Faith and Fantasy』の著者 Michael Oren 紹介 現役のイスラエル義勇軍兵士/『権力と信仰と野望』の著者/中近東のA〜Z __________________________________________________________________ ▼ ぽちぽちっとランキング、よろしくおねがいします! 以下ブログの本誌です ▶ 本誌『楽園通信』カバーページ ▶『楽園通信』全記事アーカイブ ▶『楽園紀行』イタリー編トラベローグ ▶『楽園百撰』ハワイのベスト100 『米流時評』自選コラム・ベスト3 ▶傷だらけの星条旗/米国ジャーナリズムの良心 ▶米国式濃縮ニュース解説/風に聴け精神よ何処へ ▶西暦2003年のコマーシャル/広告と戦争のはざまで
by ysbee-Mac
| 2007-02-18 23:16
| 中近東・イラン問題
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